高低差4mの傾斜地に「ふつうの暮らし」をつくる

更新日:コラム

高低差4mの傾斜地に「ふつうの暮らし」をつくる

2025年11月8日(土)- 9日(日)の2日間で予定している、京都市東山区で建築中の住宅での構造見学会。

今回の住宅は、東西で約4メートルという大きな高低差をもつ傾斜地に建つ家です。

向かって左(東隣)は高く、右(西隣)は低い。

通常であれば、スキップフロアや階段を多く取り入れ、敷地高低差を生かした、「段差のある家」になるような敷地条件ですが、施主ご夫婦は60代。

これからの暮らしを考えると、段差の多い間取りでは日常の動線が負担になってしまいます。

そこで、敷地の中心に新しい「設計地盤」を設定することで、道路から玄関までをほぼ段差なくアプローチできるプランを導き出しました。

結果として、4メートルもの高低差をもつ傾斜地でありながら、あたかもフラットな敷地に建てられたかのような、自然で心地よい住まいが実現しました。

コンセプト名は「Spacios」——

面積からは想像できないほどの、ゆとりと抜けを感じられる空間を意識して名づけました。

2階のリビングからは、隣接する豊かな樹木の緑と、その先に広がる京都の街並みが一望できます。

その眺めは、単なる「景色」ではなく、この土地で暮らすことの豊かさそのものを感じさせてくれます。

傾斜地だったからこそ出会えた眺望です。

「傾斜地だからこそ叶えられた、ふつうの暮らし」

それは決して派手ではありませんが、確かに「心地よい日常」が宿る家です。

ぜひ、構造段階だからこそ見られる「地盤と建物が一体となる“構造の答え”」を、実際にご覧ください。


傾斜地を検討されている方はもちろん、土地の可能性を最大化する設計に興味のある方にも、きっと新しい発見をもたらす住宅です。


 BUILD WORKs
設計 河嶋 一志