窓は開けるためのものではない

更新日:コラム

窓は開けるためのものではない

― 光と風と、暮らしの距離感をつくる ―

家づくりの中で、
「窓はどこに付けますか?」という話は、必ず出てきます。

窓は、外を見るためのもの。
風を入れるためのもの。
そう思われがちですが、
私たちは少し違う視点で窓を考えています。

窓は、
光と風、そして暮らしと外との“距離感”を調整する装置だと考えています。


大きければ良い、というわけではない

窓は大きければ開放的になる。
確かに、それは一つの側面です。

けれど同時に、
視線が入りすぎたり、
落ち着かなくなったり、
暮らしが外に引っ張られてしまうこともあります。

大切なのは、
どれだけ開けるかではなく、
どのように外とつながるか

窓は量ではなく、質の問題だと感じています。


窓がつくる、居場所の性格

同じ部屋でも、
窓の位置や高さが変わるだけで、
空間の性格は大きく変わります。

低い位置の窓は、
座ったときに外を感じさせてくれる。

高い位置の窓は、
視線を切りながら、光だけを取り込む。

正面の窓は、
外とのつながりを意識させ、
横の窓は、
空間に奥行きを与えてくれる。

私たちは、
「ここで人はどう過ごすのか」を想像しながら、
一つひとつ窓を決めていきます。


外を見るためだけではない窓

窓の役割は、
景色を切り取ることだけではありません。

光の動きを感じる。
時間の移ろいを知る。
季節の変化に気づく。

それらは、
必ずしも“眺めの良い窓”でなくても、
十分に感じ取ることができます。

むしろ、
少し控えめな窓のほうが、
暮らしの中で長く愛されることもあります。


閉じることで、豊かになる

すべてを開くことが、
豊かさではありません。

必要なところを閉じ、
大切なところだけを開く。

そのメリハリが、
住まいに落ち着きと安心感をもたらします。

窓は、
外とつながるための“穴”ではなく、
暮らしを守り、整えるための“調整役”。

私たちは、
そうした役割を担う窓を、丁寧に設計しています。


2026年も、窓の先にある暮らしを考える

新しい年も、
私たちは窓の大きさや数だけでなく、
その先にある暮らしの風景を想像しながら、
設計を続けていきます。

窓は、開けるためのものではない。
暮らしの質を整えるためのものだと、私は考えています。

BUILD WORKs
代表取締役 河嶋 一志