南の大開口が省エネにつながる、その理由
更新日:コラム

前回、省エネの家にする方法のひとつとして「高断熱・高気密」があり、それを考える上で欠かせない
UA値・Q値・C値のお話をさせていただきました。
(前回の記事「高断熱・高気密と省エネ住宅の関係」はコチラをクリック。)
そして、私たちビルド・ワークスは、
UA値=0.49W/㎡K以下になるよう計画し
C値=0.3㎠/㎡以下施工させて頂いております。
そして最後にもう二つ大事な数値があることをお話させて頂きました。
それがηACとηAHです。
ηAC(冷房期の平均日射熱取得率)
「夏の暑い日、窓から影響する日射熱取得率」を計算したもの
遮蔽部材(軒かカーテン等)と東西の窓から入る日射熱取得率によって決まってきます。
ηAH(暖房期の平均日射熱取得率)
「冬の寒い日、窓から影響する日射取得率」を計算したもの
南面の窓から入る日射熱取得率と時に吹き抜けによって決まってきます。
今回は、このηAH値に着目してお話したいと思います。
ηAHは、冬の暖かい時間(日中)に獲得できる日射取得率のことをいいます。
その熱は、窓や床、天井から熱が逃げていくこともあれば、窓から入る太陽の暖かさで入ってくることもあります。
窓から入る熱・出る熱 " 熱収支 黒字化ロジック "
簡単に言い換えると、窓からでる熱よりも入る熱を多くすれば、冬は暖かい家になるということになります。
昔の窓は、単板ガラスといって、通常の一枚ガラスが一般的で、
日射熱が 10/H とするなら、出ていく熱は 15/H となり、一時間に-5°下がっていくような窓でした。
しかし近年使われている複層ガラスは、複数枚の板ガラスを重ね、その間に乾燥空気やアルゴンガス等が封入されたガラスで、断熱性能が高い窓となりました。
そうすると、日射熱が7/Hとした時、出ていく熱は5/Hと、一時間に+2°室温があがるような窓になりました。
もし、昔のような単板ガラスの窓であれば、小さい窓をつけるほうが部屋の温度は下がらないが、現代の高性能の窓をつける場合、大きい窓を付ける事で、熱中止の黒字が可能となります。
日中、日当たりがよい南側の窓を大開口にしてあげる事で、「南の窓は天然のストーブ」として働き、部屋を暖かくしてくれるのです。
熱収支を黒字にできる窓であれば、
南の大開口は、天然のストーブとなり、省エネへとつながります
昔の窓(単板ガラス)より性能が上がった窓だからこそできる、省エネのお話でした。
[BUILD WORKs 設計チーム]