光・風・視線をつなぐ ― 空間の立体的な連続性

更新日:コラム

光・風・視線をつなぐ ― 空間の立体的な連続性

この家の大きな特徴は、1階から3階までを貫く吹き抜けと、
それを軽やかにつなぐ階段によって、空間が立体的に連続していることです。
上下階は分断された「階」ではなく、
ひとつの連続した空間として感じられる構成になっています。

吹き抜けを介して光が落ち、風が抜け、
家族の気配が上下に行き交う。
それは単なる“開放感”ではなく、暮らしそのものが縦に横に、
やさしくつながっていく設計です。

そのつながりは、家族だけでなく、家とまち、
過去と未来をも結ぶものだと、私は考えています。

歴史あるまちの文脈に、そっと寄り添う

この住宅が建つのは、長い時間を重ねてきた街並みの中です。
そのような場所に新しい建築を挿入するとき、意匠や機能以上に大切なのは、
「この土地が積み重ねてきた時間と、どう向き合うか」 ということだと思っています。

狭小な敷地の中で、縦の構成、自然光の取り込み方、
風の通り道、外からの視線の受け止め方――
それら一つひとつを丁寧に吟味しながら、
建築がまちに対して“主張しすぎない存在”になるよう心がけました。

この家は、街に新しい何かを強く刻むものではなく、
既存の街並みと静かにつながる「継ぎ目」 であってほしいと願っています。

建築とは、施主・設計者・まちがともにつくる風景

この家は、単なる個人住宅ではありません。
施主ご家族の暮らし、私たち設計者の思い、そしてこの街が持つ時間。
それらが重なり合い、一つの“風景”として立ち上がっています。

見学会では、間取りや素材といった目に見える部分だけでなく、
光や風、視線、気配、そして「まちとの関係」という無形の設計が、
どのように暮らしの中に息づいているかを、ぜひ体感していただきたいと思います。

建築家として、私たちは家を「つくる」のではなく、「つなぐ」。
そのつながりが、時間とともにまちと暮らしに根づいていく。
この住まいは、その思想を静かに体現した一つの“架け橋”です。

― 見学会のご案内 ―

「Bridge」OB様宅見学会【限定1日開催】
開催日: 2025年12月14日(日)
時間:
10:00~11:00
11:00~12:00
14:00~15:00
15:00~16:00
会場: 京都市下京区(※詳細はご予約後にご案内いたします)
参加費: 無料(完全予約制/各時間帯2組様まで)

すでにご入居されているお住まいをお借りしての見学会です。
実際の暮らしの空気感、素材の経年、光の入り方など、
完成写真だけでは伝わらない「住まいの本質」をご体感いただけます。

▶ 見学会の詳細・お申込みはこちら
https://www.buildworks.co.jp/event/13619/

BUILD WORKs
河嶋 一志