間取りは最後に決まる
更新日:コラム
― 最初に描かない理由 ―
家づくりの相談で、
「間取りはどんな感じになりますか?」
と聞かれることがあります。
けれど実は、私たちは
家づくりの最初に、間取りを描くことはほとんどありません。
それは、
間取りが重要ではないからではなく、
間取りは“結果”として現れるものだと考えているからです。
描く前に、考えていること
敷地に立ち、
周囲の環境を読み、
お客様との対話を重ねる。
その中で私たちが考えているのは、
部屋の数や配置よりも、
光の入り方、風の抜け方、人の動き、視線の流れです。
朝、どこで光を感じたいのか。
夜、どんな場所で落ち着きたいのか。
家族が集まる距離感は、近いほうが良いのか、それとも少し離したいのか。
そうした暮らしの質に関わる要素を、
言葉やイメージとして、少しずつ積み重ねていきます。
間取りは、答えではない
間取りは、家づくりの目的ではありません。
あくまで、
敷地や暮らしの条件に対する“答えのひとつの形”です。
先に間取りを決めてしまうと、
本来その土地が持っていた可能性や、
ご家族の暮らし方の幅を、
知らず知らずのうちに狭めてしまうことがあります。
だからこそ、
私たちはすぐに線を引かず、
考える時間を大切にしています。

線を引くときは、覚悟を持って
十分に考え、
敷地と暮らしの輪郭が見えてきたとき、
ようやく図面に線を引きます。
その一本一本の線には、
「なぜここなのか」という理由があります。
間取りは、
思いつきではなく、
積み重ねてきた思考の結晶です。
だから完成したとき、
図面以上の説得力を持った空間になるのだと感じています。
間取りが、暮らしに馴染むということ
住み始めてから、
「この配置は自然だった」
「無理がなかった」
と感じていただけることがあります。
それは、
間取りそのものが主張するのではなく、
暮らしの中に静かに溶け込んでいるからだと思います。
良い間取りとは、
意識されない間取り。
そこにあることが、当たり前に感じられる配置です。
2026年も、線を引く前に考える
新しい年も、
私たちはすぐに描かず、
立ち止まり、考え、対話することを大切にしていきます。
間取りは、最後に決まる。
その順番を守ることが、
家づくりの質を支えていると、私は信じています。
BUILD WORKs
代表取締役 河嶋 一志