素材は、時間を設計する

更新日:コラム

素材は、時間を設計する

― 経年変化という美しさについて ―

家づくりにおいて、
どの素材を使うかという問いは、
単なる仕上げの選択ではありません。

それは、
その家がどのように時間を重ねていくかを決める行為です。

私たちは、
素材を「今の見た目」だけで選ぶことはありません。
その素材が10年後、20年後にどのような表情になるか。
そこまで含めて設計しています。


変化することを前提にする

多くの製品は、
「変わらないこと」を価値としています。

けれど本来、
自然素材は必ず変化します。

木は色が深まり、
金属は味わいを帯び、
塗り壁は空気とともに表情を変えていきます。

私たちはこの変化を、
劣化ではなく、
時間がつくる豊かさとして捉えています。


時間に耐える素材を選ぶ

家は何十年も使い続けるものです。
だからこそ、私たちは

・将来も入手できる素材
・直すことができる素材
・部分的に交換や補修が可能な素材

を選ぶようにしています。

使い捨てるのではなく、
手を入れながら住み続けられること。

それは、住まいの安心感であり、
持続可能な建築のあり方でもあると考えています。


手仕事が生む、時間への強さ

素材の価値は、
施工のあり方によっても大きく変わります。

工業製品の均一な仕上がりではなく、
職人の手による施工には、
微細なゆらぎがあります。

そのゆらぎは、
時間が経つほどに空間に馴染み、
修繕や調整を可能にします。

私たちは、
手仕事によってつくられたものこそ、
長い時間に耐えうる建築になると感じています。


新しいままではないことの価値

完成したばかりの家は、まだ未完成です。
そこから暮らしが始まり、
傷や変化を重ねながら、
少しずつその家らしい表情が生まれていきます。

新品の状態を保ち続けることよりも、
時間とともに愛着が深まること。

それこそが、
住まいにとっての本当の豊かさではないでしょうか。


2026年も、時間に耐える建築を

新しい年も、
私たちは完成の瞬間だけでなく、
未来の時間まで見据えた家づくりを続けていきます。

素材を選ぶことは、
時間の流れを設計すること。

暮らしとともに成熟していく建築を、
これからも丁寧につくり続けたいと思います。

BUILD WORKs
代表取締役 河嶋 一志