目立つ家より、残る家を
更新日:コラム
― 建築は、街の風景をつくっている ―
家づくりは、一つのご家族のために行うものです。
しかし、その家は完成した瞬間から、
ご家族だけのものではなくなります。
毎日、近所の方が目にし、
子どもたちが前を通り、
季節の風景の一部となっていく。
住宅は、暮らしを包む器であると同時に、
街の風景をつくる建築でもあります。
だからこそ私たちは、
一棟一棟の家が、その街にどのような景色を残していくのかを大切に考えています。
建築には、街への責任がある
建築は、完成したその日だけ存在するものではありません。
十年、二十年、三十年と、
その場所に建ち続けます。
つまり、一棟の住宅は、
その街の景色を長い時間つくり続ける存在でもあります。
だからこそ、
建築には住まい手だけではなく、
街に対する責任もあると私は考えています。
目立つことを目的にした建築は、
その瞬間は印象に残るかもしれません。
しかし、本当に良い建築は、
時間が経つほど街に溶け込み、
「以前からそこにあったような存在」になっていきます。
調和は、個性を消すことではない
「街並みに合わせる」というと、
個性を抑えることだと思われることがあります。
しかし、私たちが考える調和とは、
同じ色や同じ形にすることではありません。
周囲の建物との距離感。
道路からの見え方。
植栽が育った未来の姿。
光や影がつくる表情。
そうした一つひとつを丁寧に考えることで、
その土地らしい建築が生まれます。
建築は、自分だけを主張するものではなく、
周囲との関係の中で美しさを育てていくものだと思っています。
時間が風景を完成させる
完成したばかりの住宅は、
まだ街の一員になったばかりです。
庭木が育ち、
外壁が少しずつ表情を変え、
住まい手の暮らしが積み重なっていく。
そうして十年、二十年という時間を経て、
建築はようやく街の風景として根づいていきます。
私たちが目指しているのは、
完成写真が一番美しい家ではありません。
十年後のほうが、美しいと感じられる家。
その時間まで設計することが、
建築家の仕事だと思っています。
次の世代に渡せる風景を
街並みは、一人ではつくれません。
一棟一棟の住宅が積み重なり、
長い年月をかけて、
その土地ならではの風景が生まれていきます。
だからこそ私たちは、
目先の流行ではなく、
二十年後、三十年後にも静かに佇む建築をつくりたい。
住まい手に愛されるだけでなく、
街にも愛される建築でありたい。
そんな思いで、一棟一棟の設計に向き合っています。
BUILD WORKs
代表取締役 河嶋 一志
